今日の現場から

豊かさに感謝を

2013/08/28(水) 日々の出来事

「つい最近、ヤンジンさんの講演を学校で聞いたんだよ、子どもたち。
(野球だけじゃなく)ちゃんとこういう話しも聞いてるんだよ、 あの子たちは。」と、
お友達が1冊の本を貸してくれました。


バイマーヤンジンさん。
チベット人。何千倍という競争に勝ち残り、中国国立四川大学に入学。大学では、西洋オペラを専攻。
卒業後、同大学の専任講師として教壇に立つ傍ら、中国各地で数多くのコンサートに出演。

1994年来日後、日本でただひとりのチベット人歌手として、チベットの音楽・文化・習慣等紹介する為、
全国的にコンサート活動を行っておられる、女性。


ユーモアたっぷりの語り口調で綴られたこの本、字がとても大きいということも手伝って、
楽しく、あっという間に読み終えました。


チベットって、中国だったんだぁ。遊牧民だったお母さんの期待に応えて教育を受ける環境を得ただけでなく、
今ではチベットにいくつもの学校を設立しているなんて、本当にすごい。


バイマーヤンジンさんの生き方に、感銘を受けたことはたくさんあったのですが、
一番は、何よりも最後の章です。


「生まれて初めて見た親子喧嘩」


日本人の男性に嫁ぎ、日本で暮らし、ご主人にとても感謝をしているヤンジンさん。
けれども、1つだけ許せなかったことがある、と。


「主人が親と喧嘩をしたことです。それは私が生まれて初めて見た親子の喧嘩で、とても驚きました。」

「“どうしてお父さんと喧嘩をすることができるのか理解できない”と言いましたが、主人は別に悪いとは思っていないようでした。“お父さん、お母さんと喧嘩をするなら、私はチベットに帰る。日本にいてほしかったら、そういうことをしないで”と言いましたら、主人はこれからは絶対喧嘩しないと約束してくれて、“指切りげんまん”もしました。」

指切りげんまんから半年後、お父様は突然65歳の若さで心筋梗塞で倒れ、亡くなります。

「主人は泣いて泣いて、“親孝行できなかった、親孝行できなかった”と言います。いまさら親孝行ができなかったというのはどういうことですか。チベットではいま、4500メートルを超える地域で暮らしている男性の平均寿命は46歳です。しかしお父さんは65歳まで生きていましたから、主人は成人してから、少なくとも10年間は父親と一緒にいたのです。この間、主人は何をしていたのか、と私は思いました。海外旅行に連れて行くことも、家を建ててあげることも、もちろん素晴らしい親孝行。でも、チベットでは一生、海外旅行にはいけない。何が親孝行かといえば、親がいつまでも安らぎの気持ちでいられるようにすることです。」

「家の中での温かい一言」に勝る親孝行は、なし。

忘れかけた大切なことを教わった、1冊でした。

 

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